ITの大手企業に就職し、営業職に就いた場合、どのような仕事をし、どのような将来が開けてくるのか不安な新卒の方や、今後、IT企業の営業職に就くことを考えていらっしゃる学生の方も多くいらっしゃるとおもいます。
この記事では、大手IT企業(IBM)で30年の勤務の中で、10年以上を営業で勤務した経験をもとに、その仕事と、求められること、および、将来像をお伝えしていきたいと思います。
外資系大手IT企業の営業には2種類ある。将来像はマネージメントか、コンサルへの2択。
IBMのような大手の外資系IT企業では営業職は2種類のカテゴリに分かれています。
- CR(カスタマーリーレーション)営業
- SS(セールススペシャリスト)または、ソリューション営業
CR(リレーション営業)とは
主に既存の大企業のお客様を担当する営業で、トップアプローチをメインとする従来のお客様との関係をベースに、案件を開拓して、販売を伸ばす営業をいいます。
旧来の営業方法で、海外では、できるだけ、このCRの数を少なくして、SSを増やす傾向にあります。
日本においては、まだCRは数が多く、お客様との関係が強固な事の理由によくあげられますが、アメリカなどは、すでに数千億の売り上げに、数人という状況になっています。
リレーションで物やサービスを買ってもらう時代は、既に限界が来ていますが、キーのCRは存在し続けますので、ある意味、特殊なスキルと人脈が必要な職種です。
新人が配属されることはありますが、相対的に、将来有望なエクゼクティブ予備軍のような社員が多いです。
SS(ソリューション営業)とは
営業という職種のほぼ80-90%の社員はこのSSと呼ばれる職種につきます。ソリューション営業といわれるように、担当のお客様を担当して、営業活動をするというより、あるセクター(製造業、流通業というお客様のグループ)を担当し、キーのソリューションを売り込みする営業です。I
BMの場合は、時代によって変化しますが、ソリューションとは、
- クラウド
- AI(人工知能)
- セキュリティー
- IoT (すべてがインターネットにつながるシステム)
等というテクノロジ-に対して、その時にホットはサービスと売り込みする営業をソリューション営業と言います。
例えば、クラウドならば、IBMが推進する”IBMクラウド”などを使って現在お客様の社内にある大型、中型、小型のコンピュータシステムを移行するとか、AIならば、IBMのWatsonというAIシステムを使って、既存の業務をAIで肩代わりできるようにするシステムを提案するとかのことです。
ここで、重要なポイントは、ソリューション営業は、特定のお客様を担当するのではなく、CRがお客様の課題の”匂い”を拾ってきて、それに関係するソリューション営業が提案を行って、契約までを実施し、SE部隊が導入を行うという流れだということです。
このソリューション営業は、相応の技術的な知識を有し、最適な技術と、価格で提案することを求められます。よって、優秀なソリューション営業はCRからいつも引っ張りだこになる傾向があります。
営業とSEの垣根は会社の規模と時代によって大きく変わる。
ひと昔前は、IBMでもお客様単位で営業部が設定され、営業部に担当営業と担当SEが売り上げに応じた人数が配置され、お客様の要望に応じて、すべてのことを実施するという体制でした。
しかし、技術があまりに広範囲になり、そのスキルと人員を営業とSEというくくりで存在させるのではなく、CRがお客様の課題、要望を察知、SSがそれを解決するソリューションを提案し契約、SEがその契約を実現し、お届けするという体制になってきました。
それ以来、SEという言葉はあまり使われなくなり、SE=デリバリー と呼ばれるようになっています。(IBMだけなのかもしれませんが)。。
まるで、ピザの配達屋さんみたいですが、それが、現実です。
できる営業になって、満足な年収を確保する方法
もしあなたが、CRとしての営業から始められたのなら、IBMのような外資系IT大手企業の場合は、会社としてのキャリア組の予備軍に選別されたのかもしれません。
片や、リレーション営業と呼ばれるように、リレーションを最大限に生かして、担当顧客の売り上げを最大化しましょう。チームでの提案が主となるので、個人で出来ることは限られているかもしれませんが、
- お客様とその上層マネージメント
- 社内の上司、事業部長
- アメリカのマネージメント(IBMの場合)
- ソリューション営業とその上司
当然IBMのような外資系企業の場合は、英語ができて、アメリカ本社のマネージメントと渡り合って、お客様の要望を通すことは、重要なのですが、それよりも、お客様とのリレーションが重要です。
その上で、CRとしてのキャリアパスは、会社での昇進を勝ち取り、課長、部長、事業部長と進んでいくことになると思います。それが、唯一のキャリアパスだと思われいます。
あなたが、ソリューション営業に配属されたら、話はかなり異なります。
まず、どんなソリューションの担当になるかで、仕事の困難さや忙しさが大きく異なってくるからです。
クラウドやAIなどの、現在の花形ソリューションなら、CRからも数多く声がかかり、アメリカ本社のフォーカスソリューションとして、最大限のサポートをしてくれるでしょう。
忙しさは、しょうがないとしても、やりがいがある提案活動が出来、しいてはそのビジビリティ―の為に、社内でもいい評価を取得でき、職位の昇進も比較的短期間で獲得できるはずです。
ただ、古来のソリューション、例えば、ERPやCRMなどという 旧来のソリューションの担当になると、成果を出すのは、比較的難しいかもしれません。
なぜなら、競合のコンサル会社が多く、IBM自身のもっているソリューションがフォーカスされていないからです。
転職により自立を確保し、年収を倍増させる方法
担当する顧客、もしくは、担当するソリューションは自分で決められるものでは、ありません。
もし、不幸にも、頑張りがいの無い顧客や、ソリューションを担当させられたら、転職を考えて、自分の新しいキャリアを探したほうがいいかもしれません。
その場合に、あなたが武器となるキャリアを持っていると、次の転職を探すときに大きな力となり、年収のステップアップにも貢献します。
もし、あなたが、CRならば、それは、そのお客様との人脈つまりリレーションが最大の財産であり、武器となります。
特に外資系企業の場合は、この日本におけるリレーションに大きな魅力を感じてくれます。最大限にアピールしましょう。
たとえ、技術的にSSやSEに比べて自身が無くても、まったく問題ありません。
もし、あなたが、SSならば、どんなソリューションを担当していたか、どんなパッケージソフトを提案したり、契約したか、によっては、転職はかなり有利になります。
少し前までは ”ORACLE”や”SAP“という 企業向けの海外パッケージソフトの経験があるというと、外資系の転職はかなり有利に進めることができました。
転職をする前から、どのソリューションを経験していると、転職に役に立つということを常に意識することが必要だと思います。
それが、自分に自信を与えてくれることにもなるので、ソリューションタイプは重要だと考えてください。
これからは、クラウド、AI, IoTのスキルと関連ソリューションのスキルが、もてはやされる時代がしばらく続くと思われます。
まとめ、自分の決断とそのチェックポイント 30代年収1000万への道
営業としてのキャリアパスとして、CRなら、社内での承認によって、30代での部長職昇進を目指す。IBMクラスの会社なら、部長職で、1000万は簡単に実現できると思います。
もし、SSなら、同じく部長レベルに昇進できたら、1000万は軽いと思いますが、もっと大きな収入を望むなら、外資系のコンサル会社がいいかもしれません。たとえば、アクセンチュアやEY(アーネストヤング)のような会社です。このようなコンサル会社では、2000万から3000万の年収も夢ではありません。
ちなみに数人の私の友人や上司もIBMから転職で、アクセンチュアに転職し、高給をもらっていましたが、ほぼ二年で辞めて、何人かはまた、再度IBMに戻ってきました。
戻った理由については、彼らも数多く語りませんが、やはり、コンサル会社としては、IBM時代のお客様とのリレーションを期待していたみたいで、それに十分にこたえられこたえられられなかったことが、原因のように伝え聞きました。
最後に、
営業は会社にとって、重要な仕事で、会社の実績に直に関係してくるために、プレッシャーも大きい代わりに、成果がでると、その見返りも絶大です。
ただ、本当にテクノロジ-で稼いで、実績に応じた見返りを求めるのであれば、ベンチャー企業に転職するのが、一番いいのかもしれません。転職は慎重に検討してください
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