日本では、最近コロナの影響もあり、よく、リストラに関しての記事を目にします。特に最近目にするのは、
黒字リストラは最近よく見られるリストラの携帯として新聞によくでるようになりました。
私は、富士通の関連会社で数年、IBMで、30年勤務し、海外IBMでの数年の経験の中で、マネージメントとしての勤務ゆえに見ることができたアメリカ企業のリストラの実施の実情を見てきましたので、赤裸々にこの記事にて、皆さんにご紹介させていただきます。
この記事を見て学習できること
今回の記事では、どのような人が、会社(IBM)として、リストラ(レイオフ)のターゲットに選択され、そのリストラの実施の方法を、私が見てきたドキュメントとしてお伝えします。
この記事を読むと、少し背筋が寒くなるかもしれませんが、いずれ日本も起こりえることなので、自分自身に起こる可能性のあることとして、将来に備えることができると思います。
アメリカにおけるリストラ(Restructuring)とレイオフ(Lay Off)
アメリカでは、レイオフは企業活動において、合法として認められています。
レイオフとは
- 企業活動においてある仕事が一時的に無くなった労働者を一時解雇できる
- もし、その仕事が再度復活すれば、レイオフした労働者を優先的に再雇用する
- レイオフされた労働者は、会社から再就職のためのサポートを得ることができる
リストラには法的な定義はあまりないのですが、企業が希望退職という名のもとに、将来コスト的に会社に貢献が少ないと思われる社員に希望退職をつのり、上乗せ退職金に納得できた社員は希望退職をする。
というのが、本来の意味なのですが、この二つの言葉は、現在かなり近い意味を持っているようです。
つまり、会社から、リストラにポイントされた社員は、現実的に、やめるしかなく、どうしてもやめることに同意しない場合は、合法的にレイオフの法律に乗っ取って解雇されるというものです。
アメリカにおいてでも、40歳を超えて、レイオフされて、次の仕事が簡単に見つけられる人はそれほど多くありません。
私の目撃してきたIBMの有能なエンジニアでさえも、そんなに簡単に次の仕事は見つからないのです。よって、レイオフの通告は社員にとって、人生の終わり ととれるような人たちも少なくありません。
リストラ(レイオフ)の前兆と暗い雰囲気
IBMは1990年以前はビジネスが好調だったため、絶対レイオフをしない会社として有名でした。
ところが、1980年代後半に一度レイオフをやってからというもの、タイミングを見計らって、とめどなく、静かにリストラが行われてきました。
物語はまず、新聞やテレビのニュースから始まります。
ある日、新聞に ”IBMが5000人のリストラを本年度末までに計画中” 等といったニュースが紙面を飾ります。
どこの事業所で、何人がいつまでにリストラされるのか、社員本人は全く知らされませんが、HR(人事部)では、年齢、過去の評価、実績 などによって、リストラ プライオリティー リストがすでに作成され、事業部単位で ターゲットの選定が了承されます。
つまり、リストラはすべて 支払われる上乗せ金の総額と、今後数年で払わなくなる給料とのビジネスケースが成り立てば、即実施されるわけです。
ある日の朝の出来事AM7:30(課長職の社員が部長に呼ばれる)
これは、私が数年前にコロラド州ボルダーにある研究所でみた光景です。
ある朝、該当部門の課長が各々の部長に呼び出され、一枚のリストを渡されます。そして部長はこう言います。
- このリストにある社員を本日レイオフする。
- リストの社員にレイオフを通告し、本日AM11:30までに、個人の持ち物を整理し、課長が会社の退出ゲートまで送り届け、社員証を回収するように
- 送り届ける時には、会社の警備員が必ず同行する(警備員は銃を持っている)
- リストラに関しては、社員の質問には、答えず、関連書類を渡してみてくれとだけ言う
時間を切って、午前中にするのは、怒った社員がとんでもない破壊行動をする時間を与えないためです。
レイオフ宣告(社員)
課長からレイオフを宣告された社員は、突然のことに、動転し、中には、泣き崩れる人もいますが、課長は順番に職務を実行します。
レイオフを宣告されなかった社員は、課長がすべての部下の部屋を回ったことを確認し、(開発エンジニアはすべて個室をもっています)安堵すると共に、レイオフにあった写真を慰めにいきます。
ただ、該当社員は時間が2時間ちょっとの間に、すべての個人所有物を 段ボール箱に詰めて、不要なものは、捨てるか、近隣の社員にあげる交渉をしなくてはなりません。
AM11:30 課長のお迎えがきます。
11:30になると課長が社員のオフィースのドアをノックします。空いているのに、ご丁寧にノックするのは、余計なことを社員と会話するなという指示があるからです。
その隣には、いかついガードマンが銃を携えて立っています。
同じ課の該当社員の準備ができたのを見計らって、この一団は エントランスを通り、ゲートまで歩いていきます。全員、ひと箱の段ボール箱と、個人のPCバッグのみを持っています。
会社との最後のお別れ(エントランスゲートにて)
エントランスのゲートに到着すると、エントリーチップの付いた社員証を課長が全員から回収します。(これで、二度とオフィースに戻ることはできません)
課長は部下に多くの言葉をかけることもなく、”See You” とだけ言って、自分のオフィースに戻ります。
12:00きっかりに、該当者の社員証のICチップは利用不可になり、すべての社内のmailアドレス、および、DBへのアクセス権もストップします。
ただ、これで今回のレイオフの全てが終わりではありません。
部屋に戻ってきた、課長のオフィースに 部長が来て、”どうもご苦労様”と声を掛けます。その後、”ちょっと話があるから、自分の部屋に来てくれる?”と呼ばれます。
もう、今日は、疲れたから、仕事の話はしたくないなーって、思って、部長の部屋に行くと、部長から、驚愕の言葉が。。
”実は、君も、本日付けでレイオフされることになった。よって、本日16:30までに、すべての個人所有物をまとめてくれ” というお達しが
最後に、まとめ
これは、私がアメリカのIBMの研究所に滞在していた数か月の間にたまたま起こった出来事なのですが、同僚のアメリカのマネージャーいわく、これは、毎月起こっているとのこと、
中には、レイオフを告げられた後、車からピストルを取り出して、自分の上司を追い回して、警察が出動したこともあるとのことでした。
転職が比較的簡単なアメリカでも、特に年齢を重ねた社員の転職先を見つけることは容易ではなく、レイオフは死活問題であることがよくわかった経験でした。
日本も、コロナ以降ジョブ採用に舵を切った企業も数多く、それは、つまり、レイオフが今後起こりえるということをしめしています。
”あなたはあすから首です”と言われなくても、 ”あなたの仕事・Jobは、明日から、会社に不要となります” って言われたら、全くおんなじですよね。!
これが、明日の自分の姿にならないように、皆さんも人生のバックアッププランを用意するように心がけましょう!
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